ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
ハッと目を開けると、あふれんばかりの光が視界を埋め尽くし。
反射的に瞼を閉じた。
朝日……
カーテンを閉めずに、そのままベッドに倒れ込んでしまったんだな。
じっとりと浮かんだ脂汗をぬぐい、重たい身体を起こした。
気分は最悪だ。
何か、夢を見ていた。
どんな、夢だっけ……
覚えてないけど、いいものじゃなかったらしい。
汗でぐっしょりと湿ったワイシャツは、しわくちゃ。
着替えもせずに寝てしまうなんて、何やってるんだか……
混乱する頭を振りながら、ベッドから降り立ったところで――唐突に、すべてのことを思い出した。
昨夜の、出来事。あれは――……
わずかな可能性にすがるように、部屋を飛び出した。
ガチャっ!
ガチャガチャ!
キッチンにも、バスルームにも……
どこにも、飛鳥の姿はなかった。
寝室に戻ってみれば……クローゼットの中、あの旅行カバンもなくなっていた。