ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

頬にはそり残しの髭が浮き、目元には濃いクマ。
肌のみずみずしさは失われ、青黒くくすんでいるような気さえする。


顔の造作が変わったわけじゃないのに、輝くばかりのあの精悍な印象は影を潜めていて。
あまりの変貌ぶりに、胸が衝かれた。


――あいつは今、ボロボロだ。
――ほとんど家に帰ってないんですよ。あなたにフラれてから。


私の、せい……

無視してしまった、たくさんのメールや留守電のメッセージが脳裏を横切っていく。

きっといっぱい傷つけた。苦しめた。
今更私に、何ができるだろう?

不用意なことを言えば、余計な未練を残したり、混乱させてしまうかもしれない。

……やっぱり帰ろう。
彼に会わない。それが唯一、私にできることだ。

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