ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

はぁはぁ……
はぁはぁ……


室内には、2つの荒い息だけが不協和音のように響いていて……気づくと彼は、ピタリと動きを止めていた。


「泣くほど嫌なら、こんな所にくるんじゃない」


吐き捨てるように言われて。
ようやく私は、自分が泣いていることに気づいた。

違う。
この涙は、嫌だとかそういう……

小さく首を振る私に気づかないまま。
ライアンはよろめきながら離れていき、デスクに浅く腰掛けた。


「もう行って。次は、保証できない」

「ライアン、私――」




「出て行けって言ってるんだっ!!」



頬を叩かれたかと思うほど張り詰めた叫び声に、ビクッと身体が震えた。

目の前で固く閉ざされた彼の心を感じて。
私はもたもたと乱れた服を直して、ソファから起き上がる。

「…………」
何かを言うべきかと迷って……結局、何も言えず、追い立てられるように部屋から逃げ出した。

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