ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
「なんだよ、やっぱり心当たりあるのか?」
身体を起こした拓巳に、「うーん、たぶん」と曖昧に頷く。
もしかしたら、だけど……あれだろうか。
「何なのよっ、何?」
ナディアにも促されて、「ハネムーンの話なんだけど」と、僕は打ち明けた。
「「ハネムーン?」」
「飛鳥と、どこに行くかっていう話をしててさ」
「どうしてそれで飛鳥さんが不安を感じるんだ?」
「知らないよ。でも確かに……あの時の彼女の顔、ちょっと微妙だったなと思って」
「一体どこに行きたいって言ったのよ?」
「うーん、その時は特にどこって……できれば日本国内がいい、とは言ったけど」
「あぁ、あんたって海外のめぼしいとこ、行き尽くしてるものね」
「まあ、そうだね。ハネムーンだし、仕事忘れてゆっくりできればと思ってさ。だから、『露天風呂付き客室がある温泉旅館に泊まれたら、どこでもいい』って」
「「…………」」
あれ?
黙り込んだ2人に、僕は首をひねった。
飛鳥と同じような微妙な顔をしてるのは、なぜだろう?