甘い罠に囚われて
中に入ると最低限だけどそれなりに家具だとかも揃えられていて生活が出来るようになっていた。

「えっと…これって……」

「借りた。あんた、勝手に引っ越したから。俺がその後、直ぐに借りた。」

なんで……

確かにこれは引くかも……

「ほら、だから言ったろ?引くなよって。だけどストーカーって訳じゃないからな。あんたとの接点はあのコンビニとこの部屋だけだし…」

少し拗ねた顔して言うKAKERUを見てるとなんだか急に力が抜けてきてへなへなとその場に座り込んでしまった。

「ねぇ、なんの為なの?こんな事までして……」

芸能人は金銭感覚が狂うっていうけどこれもそういったことなの?

ただの暇つぶし?

それともまた近くにある稽古場に通うのに便利とか?

頭が整理つかない。

「なんの為って…あんたに会いたくて。どうしても会ってちゃんと話したかったから。だから最近じゃぁ、インタビューでもあんたとのこと言いまくってるし、部屋も借りてどこかでまた会えるんじゃないかって。まぁ、こんなことしても会える保証なんてないけどさ。ただ、あんたの存在を感じたかったって俺もうストーカーか。」

自虐的な笑顔でKAKERUが言う。だけどーー

「話って別にないじゃない。そもそも私とあなたの間に何があるっていうのよ。これ以上、あなたの暇つぶしに私を振り回さないで、ぃやっ……」

そこまで言うと強くそれでいて大事そうに私はKAKERUに抱きしめられた。

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