甘い罠に囚われて
「送るから乗って。」

駐車場に止まっていた四駆に促され戸惑っていると、

「ほら、早く。バレると困る。」

「えっ、いや、でも……」

結局、無理やり助手席に押し込まれ丁寧にシートベルトまで付けられた。

そして、運転席に回ると車を直ぐに発進させる。

「ま、待って。困ります。」

送るって…私の家知らないじゃない。

「待ってた。」

運転しながらKAKERUが話し始めた。

「待ってたんだ、あれから毎日あのコンビニで。」

「嘘…そんな訳……ああ、お金?本当に良かったのに。それにさっき払って貰った代金のほうが多いし……」

「違うって。あんたを待ってた。あのコンビニに行けばまた会えるかもって。やっぱり会えた。」

信号が赤になりこちらに漸く顔を向けるKAKERU。私を見るその目は初めて会った時とは全く違うとても優しい目だった。

「なんで……私に?」

「なんで?うーん、なんでだろうね。お姉さん聞き上手だから?」

信号が青になり車がまた動き出す。

イタズラに笑う彼の横顔を見ながら私は何故か蜘蛛の糸に絡み逃げられなくなった蝶の姿を思い浮かべていた。

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