行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「つまんないなー」

この四年間、"triple birth union"を盛り上げるために、寝食を惜しんで頑張ってきた。

そのお陰で、起こした会社は軌道に乗り、今では何の問題もないように見える。

来年になれば、約束通り西園寺コーポレーションに戻り、会長である祖父と社長である父と共に会社運営に携わる・・・。

そんな未来に、さくらは何の魅力も感じることが出来ずにいた。

「贅沢だなー。さくらは」

「贅沢とか言う?期間限定の自由なんて逆に憂鬱だっつうの」

西園寺さくらは、サラサラのボブヘアにアッシュグレーの髪をかき上げて溜め息をついた。

167cm、56kg、の痩せぎみよりの中肉中背。

ボーイッシュだった中高生の頃は、サバサバした性格に文武両道だったからか、

男女問わず、さくらを"王子"と呼ぶ者が多かった。

大学生になってからは髪を伸ばし、少しは女らしくしようと心がけたものの、やはり中性的だと言われ、女性に告られることも多々あった。

グレーがかった光彩は、祖先のどこかに外国人が混ざっていたのだろう。

"ハーフですか?"

と、よく尋ねられるが、純粋な日本人だ(と思う)。

スポーツ、勉強、習い事、帝王学だって、何でも卒なくこなす。

「さくらって、まるで恋愛小説の御曹司のようだよね」

そう、さくらは恋愛小説に出てくる、

世を達観した

テッパンの"女版・御曹司"

なのだった。




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