行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
悔しそうに、でも、諦めたように出口を睨みつける波留斗。

「波留斗」

そんな波留斗に、さくらはゆっくりと近づくと

「手離したくないものは諦めなくていいんだよ。自分の欲求に正直になっていいって教えてくれたのは波留斗でしょ」

と微笑んで言った。

「あんな冷徹系イケメンに言い負かされてんじゃないっつうの」

そう言いながら、波留斗の額を人差し指でつついたさくらには、悠紀斗が波留斗に囁いた言葉が聞こえていたのかもしれない。

「ああ、そうだな。・・・だが、俺が望んだからと言って相手や世間がそれを望むかどうかは別だ」

「mirayは流されないよ。欲しいものは欲しい。そして、やりたいこと、なりたい自分を探すんだ。だから前を向いて探し続けたい・・・Denizのような道標を」

微笑むさくらには、出会った頃のような迷いは消え、自信に満ちあふれた立ち姿は正に天使のようだった。

「mirayの道標は、波留斗やここの仲間だろ?」

波留斗の頬にソッと手をあて、さくらが妖艶に微笑む。

「み、mirayちゃん?何やってんの!」

近づきすぎている二人の距離を見て、千歳と坂井が頬を赤らめている。

「ふふ、CM第2弾のお勉強。波留斗、練習台になってくれてありがとう」

離れていくさくらを見つめる波留斗の目は、もう、悠紀斗に気を遣って俯く南條家の次男の表情ではなかった。

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