行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「Denizは、どこか儚げで神秘に満ちた飲料水をテーマにしています。今後、2ヶ月おきにDeniz second~Deniz forthまで、皆様に刺激的なテイストの飲料水を提供していきます」

「TBUにおきましても、Denizの発売とテーマに合わせて、ゲームの新シナリオ、新マップを展開していきます。ゲーム中のmirayもCM中のmirayも少しずつ変化していきますので楽しみに待っておいてください」

波留斗と、拓海の挨拶が終わると盛大な拍手と共に、カメラのフラッシュがたかれた。

集まってくれた観衆には、Denizの試飲と、ゲームのポスターをシール化したもの(ゲーム内でゲットできるDenizのシークレットコード付き)も配布され、興奮冷めやらぬ感じだ。

「ところで、イメージモデルのmirayさんから一言いただけませんか?できればプロフィールといったファンが知りたい情報などもお聞かせ願いたいのですが」

配られる景品をゲットするのに夢中になっていた観衆も、一斉にステージ上のmirayを見つめた。

「はじめまして。イメージモデルのmirayです」

魅力的な口元から紡ぎ出されるその声は、声変わりを始めた頃の少年のような、アルトとテノールの中間、正に中性的な期待通りの声だった。

透き通るようなやや低めの声。

「これからmirayと一緒に自分探しの旅に出ましょう。決して後悔させません」

妖艶に微笑み、前髪をさらりとかき揚げた一瞬に、気まぐれに垣間見えたブルーグレイの双眸は、美しい獣の様に、人々を魅了した。

「今はまだ、mirayの素性は探さないで下さい。それを一緒に探していくのが、貴方がたに課せられたこの旅のノルマなのですから」

ホゥっというため息に続いて、割れんばかりの拍手が会場を包む。

mirayは実に巧みに会場の人々の心を掴んで、これから続く数ヵ月の冒険へと群衆を駆り立てる。

そうして、マスコミからも観客からも不評を買うことなく、第一段のイベントは大成功のうちに幕を閉じたのだった。


< 46 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop