行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「波留斗さん!」

開発部で坂井と倉永と合流し、パーティー会場である南條ビバレッジのイベントホールに向かうと

大学生くらいの可愛らしい女の子が、波留斗と千歳に近づいてきた。

「美憂来てたのか」

「相変わらずつれないのね」

ムスッとした表情でも、子猫がすねたようで可愛い。

mirayは思わずクスッと笑った。

美憂と呼ばれた女の子は、mirayを見ると、パッと表情を緩めて赤くなった。

「mirayさんですね?私は営業補佐の廣瀬美憂と言います。お噂通りの美しさでなんというか、素敵過ぎて言葉になりません!」

なんと、大学生にしか見えない美憂がこの会社の社員だったとは・・・。

さくらは少し驚いた様子を見せたが、

「mirayです。今後ともどうぞ宜しくお願いします」

と微笑んで軽く会釈をした。

「ちーちゃん、マジで素敵すぎるんですけど」

「お前、馴れ馴れしすぎ。大人なんだから節度をもて」

「お二人は・・・ご夫婦ですか?」

顎に手をあてて考え込むように首をかしげたmirayは、同じ名字で仲の良さそうな千歳と美憂を見て呟いた。

「い、いえ、違いますよ!こんな頼りない人と夫婦なんて勘違いされるのも嫌だ!」

「俺だってやだよ。ハイハイ・・・。美憂はずっと波留斗に夢中だもんな。・・・えっと、こいつは俺の妹なんです」

「余計なこと言わないで!」

真っ赤になる美憂は女のさくらから見ても可愛い。

小柄で目もクリクリしていて、真っ黒な髪の毛はストレートで背中まで伸びサラサラ。

まるで日本人形の様に愛らしい美憂は、さくらとは正反対だ。

「波留斗も隅におけないな。大事にしなよ?」

さくらの言葉に真っ赤になる美憂と、何故か顔をしかめる波留斗。

千歳は慌てて

「いや、違うんだmirayちゃん。二人は付き合ってるわけではなくて、美憂の片思い・・・」

「うるさい!ちーちゃん、黙って!」

ギャーギャーと言い合いをする千歳と美憂を見て、さくらは微笑んでいる。

一人っ子のさくらにはできない戯れだ。

ふと、波留斗を見ると、じっとさくらを見つめていた。

「どうした?」

「いや」

それ以上何も言わない波留斗から目を背けて、さくらは会場のステージに立つ、悠紀斗に目を向けた。

゛波留斗も副社長とこうしてふざけあったりしないのかな?゛

さくらはそんなことをボンヤリ考えていたが、隣でさくらを見つめ続ける波留斗は、苦しそうに眉を潜めていた。
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