行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「ねえ、ちーちゃん、mirayさんは本当は男の人なの?それとも女性?」

美憂は、千歳と波留斗の間に立って、こそこそと話を続けた。

「ちーちゃんたら、妹の私にすら本当のことを教えてくれないんだから」

美憂が不服そうに言うと

「妹だからって企業秘密をベラベラ喋るわけないだろう。俺の信用がなくなる」

千歳が美憂の頭を小突くと、

「だったら波留くんが教えてくれる?美憂だけ茅の外とか耐えられない」

波留斗の腕を自分の胸に押し付けて引き寄せる美憂。

甘える仕草も、さくらの周りにはいないタイプで新鮮に映る。

゛そうか、世の中の女性はああやって男性に甘えるんだな゛

さくらは、心の中でそんなことを思いながら微笑んでいた。

「教えるか、馬鹿。美憂、いい加減馴れ馴れしいのはやめろ。鬱陶しい」

「ひどい!」

今度は、波留斗と美憂がじゃれあっている。

大人の波留斗と少女のような美憂では、よくても兄妹のようにしか見えないが、年の離れたカップルなんていくらでもいる。

゛頑張れ、美憂ちゃん゛

そんなことを思いながら、さくらは物憂げな表情で前髪を掻き上げる。

すると、目の前には、先ほどステージにいた男性、悠紀斗がさくらの真正面に立っていた。

真正面から目があったのは初めてだ。

驚いたような悠紀斗の顔を見ながら、さくらは前髪をもとに戻す。

「素敵なパーティーをありがとうございました」

「いや、それより、次は君の出番だ。君の挨拶を社員も心待ちにしている。行こうか」

そっとさくらの背中に腕を回してエスコートしようとする悠紀斗。

彫りの深い整った顔にバツグンのスタイル。

滲み出る自信は、波留斗よりも精悍でより大人の雰囲気だ。

「副社長」

悠紀斗とmirayのツーショットに周囲の社員が感嘆のため息をついた時、

波留斗が美憂の腕を振り払って、二人の目の前に立ちふさがった。

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