行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「ああ、波留斗。mirayのことは私に任せて、恋人と仲良く歓談しているといい」

悠紀斗は、チラッと美憂に目をやると妖艶に頬笑む。

ポッと頬を赤らめた美憂は

「すみません、会社の集まりなのに、会社の上役に馴れ馴れしくしてしまって」

とうつむいた。

「いや、波留斗の大切な人なんだろう?構わない」

ニヤリと笑った悠紀斗。

それは、聞き耳を立てている社員が周囲にいることが分かっていての言動だ。

「美憂は千歳の妹で友人だ。それ以上でも以下でもない。副社長こそ、婚約者がいるのに誤解されますよ。ほら、miray行くぞ」

強引にさくらの手を引く波留斗は、無表情だが少し怒っているように見えた。

「へえ、副社長、婚約者がいるんだ?」

「残念か?」

「いや、都合がいい」

肩を竦めるさくらに、波留斗は内心ホッとする。

「だけど、美憂ちゃんにあの言い方はないよ。真剣に考えてあげないと」

「お前・・・」

波留斗が何かを言いかけたその時、ステージから、mirayを呼ぶ声が聞こえた。

「ほら、行こう」

そうして、二人は、社員にDeniz発売のお礼と今後の協力依頼をしてステージ挨拶をこなしたのだった。

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