行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「おや、まあ。テレビで見てはおりましたが、随分イケメン女子になられましたね。さくら様」

ベタベタとさくらの頬を触る麻佑に遠慮はない。

「しかも!何ですか?こちらのイケメンは!モロにさくら様の好みじゃないですか!」

波留斗は、麻佑の意外な言葉に

「本当か?」

と、ニヤニヤしながらさくらに聞き返した。

「さあね」

肩を竦めるさくらは、口角を上げてはいるが、本音は全く見えない。

「さくら様が以前、面白いと言っていた少女漫画のヒーローに似てます。暴君でしたけど」

゛やはり暴君好きか゛

薔薇の茎をハサミでカットしながら歩くさくらを横目に、波留斗は笑った。

丁寧に刺をカットした、カップ咲きの淡桃色のマダムピエールオジェを胸一杯に抱えたさくらは

「さあ、どうぞ」

と言って波留斗を玄関に案内した。

空には銀色に輝くスーパームーン。

そのままゲームの世界に吸い込まれそうなさくらに、波留斗は手を伸ばしそうになって留まった。

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