行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「な、何を仰るのですか?この縁談を断るということはどういうことかお分かりになって?」

望美は、まさか従順な波留斗が反旗を翻すとは思っていなかったのだろう。

慌てて、脅迫めいたことをいい始めた。

「どうしてもと仰るなら、兄と結婚すればいい。どのみち、あなたはどちらでも構わないのでしょう」

「なっ・・・!」

北王路社長は何も言葉を発せずにじっと波留斗を見ていた。

「申し訳ありませんが、新製品の売り出しと問い合わせ対応に忙しく時間が惜しい。無礼を働いているとは重々承知しておりますが、北王路社長、失礼致します」

「ああ、構わないよ」

波留斗は、丁寧に頭を下げると、振り返りもせずに料亭をあとにした。
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