行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
後日、南條悠紀斗と北王路望美は正式に婚約を解消した。

元々、望美の一方的な我が儘で父親である大輔が持ち込んだお見合い話。

婚約解消後も、北王路銀行と南條ビバレッジの関係には何ら影響を及ぼさないと確約してくれた。

北王路大輔は、望美の暴走にやや呆れ顔で

「このわがまま娘をコントロール出来る者が現れれば誰でもいいと思っていたが南條家はどんな魔法を使ったのかな?」

娘の趣味を知っている癖に、北王路社長は達観しているのだろう。

「南條の次男は何の欲もなく、器だけの面白味のない男だと思っていたが、誰が君を変えたのかな」

Denizの販売にもない、北王路銀行とも取引があった。

このタイミングで銀行からの融資が滞れば、波留斗に責任が押し付けられても仕方ない局面だった。

「絶対に欲しいものができたもので・・・」

「ほう、いい顔をしている」

「兄にも譲る気はありません。私は私の道を行きます」

「今の君なら応援するよ」

南條ビバレッジの社長室に呼ばれた波留斗は、そう言って微笑んだ北王路社長にお辞儀をすると部屋を出ていった。

訳がわからない様子の社長である父と、自らの手を汚さずに不本意な婚約を解消しこ満悦な副社長の兄を背にしながら・・・。
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