枯れた涙にさようなら。
「どうだった?」
かすみと別れて教室に帰り、自分の席に戻ると、自分の席に座っていた津山がそれに気がつき弁当を持ってこちらに近づいてきた。俺と哲平の席は前後なのだが、津山は2つほど離れているのだ。
「て、天使だった…」
津山の投げかけに、哲平がぽけ〜っとした顔で返す。さっきまで机の横にかけていたコンビニの袋を片手に、窓越しの空を見ているようで、口が少し開いている。
「ん…??喜一、これはもらえたってことでOK?」
「あぁ」
哲平の返答は、津山が聞きたかった返答ではなかったみたいで、代わりに俺に聞いてきた。
哲平は俺の席の方に身体を向け、普段の座り方とは反対向きに椅子に跨いで座り直した。
「なんか、すごい、、思ってた通りの人だったと言うか…むしろ想像以上だったと言うか…」
手に持っているコンビニの袋を見つめながら哲平はボソボソと喋る。
いつも借りている近くの人の椅子を移動させて津山が横に座ってきた。3人で俺の机1つでは狭いのだけれど、机を動かしたりどこか別のところに移動したりするのが面倒くさいので、最近はもうこの食べ方が定着してきた。
「それはそれは」
哲平の言葉を受け、良かったね・と言うように津山が哲平の方を見る。
とはいえ俺としては、天使・とか、想像以上・とか言っても、あまり腑に落ちない。
「いつもと大して変わらんかったぞ?」
多少よそいきの雰囲気ではあったかもしれんが。
「いつも素敵ってことじゃん!!」
「さいですか」
バッと哲平が俺の方を見て反論をしてきた。
いらんことを言ったようで。