果報者
でもすぐに気付いた。
いつもと違う。何かが違う。



いつもやったら
駄々こねたとしても



俺の冗談に笑ってくれる。



どんな不機嫌にさせちゃったって
”あほぉ”って
下手な関西弁で許してくれる。



いつもと違うんや。
今、俺の胸に顔を埋める彼女は。







「......ってことがあってん。
おもろいやろ?」






「......ん。」








反応もすごく薄くて
これはただ事じゃないって
思わざるを得んかった。



でも肝心な理由が分からんくて
どうしてあげることも出来んくて



そんなに仕事が嫌なんか?とか
上司になんか言われたんか?とか
あほみたいな質問しか浮かばんくて



無能な自分はどこまでもあほや。


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