果報者
頭の中をぐちゃぐちゃにしてた時に
彼女は顔を上げ
パンパンに腫れた目を俺に向けた。



そして、




笑ってこう言った。








「全部冗談やで。」


「.................っ」







冗談?



何が冗談?
どこまでが冗談なん?



そんな目パンパンになるまで泣いて
帰って来てから今の今まで泣いて



何が冗談やったん?




冗談な訳ないやん。




何がお前を追い詰めてる?





そんなことすら聞けんくて







「っ..........ヘッタクソな関西弁」







そう言って




笑い返した。





また、






俺は、






逃げた。






これが最後。
この日が最後やった。



彼女からのプロポーズも
あんなに壊れたように泣く彼女も






いつから俺は気付いてた?



いや、気付かんふりしてた?





これからの未来に
自信を失いかけたのは
この時からやった。
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