現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「それは……分かるまで側にいてくれるって事?」

「そうね」

だってグレースも自分自身の本当の気持ちを知りたいのだ。

「そうか!良かったぁー」

そう言って大きな息を吐いたヴェネディクトは、気が抜けたのかそのまま座り込んだ。よっぽど安心したのか、ふにゃりと表情も崩れている。

「ちょ、ちょっと待って!側にいるのと結婚するのはまた別の話だからね!よーく考えて、やっぱり恋じゃないって分かったら」

「大丈夫だよ」

「え?」

「大丈夫。グレースはちゃんと僕が好きだよ。今好きじゃなくても絶対に好きになるから。だから大丈夫」

それとこれは違うのだと訂正しようとした言葉は、どこから来たのか分からないヴェネディクトの完全なる自信によって遮られてしまった。

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