現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「だ、大丈夫ってそんな……」
「だから大丈夫だって。ちゃんと恋になるまで待てるし」
「え、あの、そうじゃなくて……」
「じゃあ、話も終わったし帰ろうか。今日はグランサム公もお茶の時間に誘ってあるんだ」
「え?」
「だってほら、色々報告しなきゃでしょ?」
「ほ、報告?」
「そう。グレースが僕との結婚を受け入れてくれたって話しとかさ。そうそう、婚約のお披露目の晩餐会を開く日程も決めなきゃだよね。もちろん、図書館司書の試験が終わってからでいいけど、ドレスの用意も必要だよね。あ、ドレスは僕にプレゼントさせてね。それから」
「ヴェネディクト?あ、あの……」
さて、と立ち上がったヴェネディクトはグレースに口を挟む隙を与えずどんどん話を進め、教会の外へずんずん引っ張っていく。
その余りに自然で強引な流れにのせられたグレースは困惑しつつ反論する事も踏みとどまる事も出来ずにいる。
しかし手を引かれながらどう止めようかと思案していたグレースを馬車に乗せながら、ふっとヴェネディクトがその動きを止めた。
「あぁ、そうだ。言い忘れていたよ、グレース」
「だから大丈夫だって。ちゃんと恋になるまで待てるし」
「え、あの、そうじゃなくて……」
「じゃあ、話も終わったし帰ろうか。今日はグランサム公もお茶の時間に誘ってあるんだ」
「え?」
「だってほら、色々報告しなきゃでしょ?」
「ほ、報告?」
「そう。グレースが僕との結婚を受け入れてくれたって話しとかさ。そうそう、婚約のお披露目の晩餐会を開く日程も決めなきゃだよね。もちろん、図書館司書の試験が終わってからでいいけど、ドレスの用意も必要だよね。あ、ドレスは僕にプレゼントさせてね。それから」
「ヴェネディクト?あ、あの……」
さて、と立ち上がったヴェネディクトはグレースに口を挟む隙を与えずどんどん話を進め、教会の外へずんずん引っ張っていく。
その余りに自然で強引な流れにのせられたグレースは困惑しつつ反論する事も踏みとどまる事も出来ずにいる。
しかし手を引かれながらどう止めようかと思案していたグレースを馬車に乗せながら、ふっとヴェネディクトがその動きを止めた。
「あぁ、そうだ。言い忘れていたよ、グレース」