桜の下で会いましょう
「うぅ……主上……よくぞ、よくぞ……申し上げて下さった。」

そして、また藤原照明はすすり泣く。

「我が娘が、主上をお慕いしていると知ってから、この日が来る事を、どんなに待ち望んでいた事やら。」

「父上様。」

依楼葉が父の元へ近づくと、藤原照明は嬉しさのあまり、おいおいと泣いた。


「では、関白左大臣殿も賛成してくれるのだな。」

「はい!我が家から入内が決まるとは、最上の誉れでございます。」

藤原照明は、もう入内させる気は、満々だった。

「和歌の尚侍。よいね。」

後は、依楼葉の気持ちだ。

「まさか、そのように仰っていただけるとは、夢にも思いませんでした。」

依楼葉の目にも、薄っすら涙が溜まっている。

「はい。喜んで主上の元へ。」

「和歌の君……」

帝は嬉しさのあまり、父・藤原照明の前で依楼葉を抱きしめてしまった。

慌てたのは、藤原照明の方で、急いで背中を向けた。
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