雨色のてるてるぼーず
私はまた固まる。




陽に触られたところが熱くなって感覚をなくす。





「あっ、いや。ごめん。あの…その…」





陽は自分でしたことに自分でびっくりして慌てているようだった。




「ごめん。弟によくやってるから癖で…」





そう謝る陽が可愛くて思わず笑ってしまう。





そんな私を見て陽も笑いだす。





陽といると笑いが絶えない。





陽と過ごす時間は心地よく、時がすぎることを忘れる。





だけどそんな2人の世界を壊すように





「ちょっとあんた達!いつまでその水槽の前に立ってるのよ!」




と怒った声が聞こえてきた。





声の先を見るとおばさん2人組が私たちを睨んでいる。





「いつまでもイチャイチャイチャイチャ。ほんと最近の若い子ってマナーもろくに守れないのかしら。親の顔が見てみたいわよ。」






別に何もそこまで言わなくてもいいじゃん!






そう思っても何も言えず下を向いてしまう。





だが隣に立っている陽はおばさん2人組の前まで歩いていって言った。
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