運命だけを信じてる

滅多に給湯室に来ない課長が珍しく朝から顔を見せた。


「珈琲なら俺も淹れて?」


「はい」


ミルクも砂糖も不要のブラック派の星崎課長は、腕を組んで壁に寄りかかった。


「どうだ?昨日は出張で小牧のこと全て、おまえに任せて悪かった」


「いえ。昨日は特に問題なかったです」


そうだ。
彼は真面目に私の話を聞いて、メモをとって、マニュアルを読み込んでいた。
決して悪い人ではないんだ。


「そうか。前の職場で色々あったらしいから、まぁ気に掛けてやってくれ」


「はい」


転職を踏み切る原因があったはずだ。その要因が職場での人間関係であるなら、ここでは同じことを繰り返さないで欲しい。そのために私にできることをする、ただそれだけだ。


そうだ。愛とか恋よりも、今の私たちは仕事を優先すべきなんだよ。

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