運命だけを信じてる

少し長引いたのだろう。
19時半を回ったところで小牧さんが出てきた。

思わずベンチから立ち上がる。


「ねぇ、みんなで良かったら飲みに行かない?」


しかし、彼の後ろから数名の社員が出てきた。

同じ新入社員だろう。
初々しさがまだ残る。


「おういいね!小牧も行くだろう」


「たまには同期で飲みも良いよな!」



同期の言葉に、小牧さんが頷いたのが見えた。


そっと、椅子に座りなおす。
万が一、小牧さんが私を見つけても怪しまないよう、携帯を取り出して適当に操作する。


かじかんだ手では上手く操作できず、苦笑する。


良かった。
東家が関係していると知っても、みんな普通に小牧さんへ接している。それは小牧さんの人望故、当然のことだろうけれど、とても安心した。


楽しそうな後ろ姿を見送る。


新人の頃、私には星崎課長が居てくれた。
小牧さんにも本音を吐ける同期が居ればいいな。

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