運命だけを信じてる
抱き合ったまましばらく言葉を交わさなかった私たちだけれど、抱き締める力を強めて小牧さんは口を開いた。
「僕は東家に生まれたことを呪われた運命だと思っていました。でも前山さんと出逢って、その運命さえも信じたくなったのです。あなたとの明るい未来を信じたくなったのです」
「運命…」
諦めていた。
白馬の王子様が現れることは一生ないのだと、私も運命を諦めていたんだ。
「今までも、これからも、」
そっと指輪を撫でられる。
「あなたとの、運命だけを信じてる」
信じるーー誰かを信じることは、怖く、危うく、いつだって裏切られる可能性を秘めている。
"信じる"ことは容易くない。
きっとこれからも不安に駆られることもあるだろう。
だけど、私もーー
「私も、小牧さんを信じてます」
ああ…。
顔を上げた彼は、
目を細めて、白い歯を見せて、
私の欲しかった笑顔を浮かべていた。
運命だけを信じてる(完)
2019/8/13
至らない点の多い作品ではございますが
最後まで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、とても嬉しいです。
ありがとうございました。


