神志名社長と同居生活はじめました
「何、言ってるんですか?」

社長の言葉が、理解出来ない。


「そのままの意味だよ。バレるまでは楽しめるかなと思ったんだけど、案外早かったな」

「嘘! 社長はそんな人じゃないのに、何でそんなこと言うんですか⁉︎」

夜だということも、壁の薄いアパートだということも忘れ、私は叫ぶように問い掛ける。


そんな言葉、信じない。
信じたくないとかじゃなくて、信じる必要がないから。

社長はとても真面目で、優しくて、こんな酷いことを本心から言うような人じゃないって分かってる。

それなのに。


「はあ。本当、面倒臭くなってきた。今日は自分の家に帰るよ。また明日にでも、俺の荷物は勝手に回収しておくから」

そんな冷たいことだけを言い残し、家から出ていこうとする。


「ま、待って! 急にどうしたんですか⁉︎ 何かあるなら言ってください!」

「今言っただろ。これ以上話すことは何もないよ」

「どうして隠すんですか⁉︎ 言いたいことはちゃんと言えって、社長が私に言ってくれたんじゃないですか!」
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