神志名社長と同居生活はじめました
こんな自分と性格が本当に嫌だし、元カレにその性格を利用されていると思うと、ますます自己嫌悪に陥る。


……だけど、社長はそんな私のことを優しく鼓舞してくれていた。


言いたいこと、はっきり言いなよ、って。



「……ません」

口を開き、ぽつりと言葉を呟いた私に、同じテーブルの社員の人達の視線が集まる。



……私、もしかしたら、本当に社長に嫌われてしまったのかもしれない。
もう会話を交わすこともないのかもしれない。


それでも。


社長には、自分の変わった姿を見せたい。

社長のお陰で変われましたとーー伝えたい。



「わ、私、ヨリを戻す気はありません!」

思ったより大きな声が出てしまったせいで、テーブルが、というか辺り一面が、シーンと静まる。


「ちょ、ちょっと雅? お前、ふざけんなよ、俺に合わせろよ」

「な、何で私が、尚に合わせなきゃいけないのよ! 私はーー


私は他に好きな人がいるんです!」


ほぼ言い逃げになってしまったけれど、それだけはっきりと伝え、私は社員食堂を後にした。
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