神志名社長と同居生活はじめました
半ばヤケに近いものはあったけれど、こうなったらこの勢いのまま、突っ走ろう。


ーー社長に私の気持ち、しっかりぶつけたい。


社長が今どこにいるかなんて知らない。

携帯に電話しても出ない。

でも、会議や訪問の予定がなければこの時間はいつも食事しているはず。


社員食堂にはいなかったから、もしかしたら外で食事を済ませ、もうすぐ戻ってくるかもしれない。

確証は勿論なかったけれど、そんなもの気にしていられない。
私は社長を待ち伏せしようと、電話を掛けた状態のままエントランスに向かった。



……すると。


私の予想は当たったらしい。

エントランスまで降りていったところで、ちょうど社長を発見した。
社長はスマホの画面を見たまま、その場に立ち尽くしている。
今、社長のスマホの画面には私からの着信画面が表示されている。

数メートル離れたところから、そんな社長の姿を思わず見つめているとーー社長も私に気が付いた。


見られていたことが気まずかったのか、社長はぽり、と頭を掻き、気恥ずかしそうな顔をした。


そしてーー携帯を耳に当てた。



『……何?』

私の携帯から、社長の声が聞こえてくる。

数メートル先にいる彼は、そこから私のことを真剣な顔をして見ていた。
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