神志名社長と同居生活はじめました
「インターホン、鳴らした方がいいかなとも思ったけど、大丈夫だった?」

「大丈夫です。
……またこの家で一緒に暮らしてくれるんですよね? それなら、インターホンなんて必要ないです」


ああ、駄目だ。感極まって泣きそうになる。
嬉しいのに、泣いたら駄目だ。

……でも、次の瞬間に彼の口から飛び出したのは思いもよらない言葉で。


「いや、この家にはもう住まない」

「え⁉︎」

嘘、どういうこと?
私達、付き合ってるってことでいいんだよね? 結婚の約束だって……。


ショックを受け、頭が混乱状態の私に、彼は優しい声色で言う。



「この家も悪くないけど、もう少し広い場所に引っ越そう」

「え?」

「マンション買ったから。雅はいつ引っ越せる?」


ーーえ、え。

自分の知らないところで、話が随分と進んでいる!


でも。驚きながらも私は素直に頷いた。



「あと、それからーー」

スマートな仕草で、彼がスーツの内側の胸ポケットから何かを取り出す。正方形の、小さな箱。



「あの日、観覧車では渡せなかったこれを、受け取ってくれますか?」


中央でキラキラとダイヤが輝く、綺麗な指輪。これって、もしかしてーー


「こ、婚約、指輪……?」

絞り出すような声でそう尋ねると、社長は笑いながら「他に何があるの?」と答えた。


嘘、だって……


「嬉しい……」
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