神志名社長と同居生活はじめました
その後、どうやって家に帰ってきたかはちゃんと覚えていない。
そのくらい頭の中がぐちゃぐちゃで、玄関の扉を閉めた瞬間に、今まで我慢していた涙が溢れてきた。
部屋まで行く気力もなく、靴を履いたままその場にしゃがみ込み、とにかく泣いた。
ーー『俺、木月の真面目で優しいところが凄い好きなんだ。俺と付き合ってください』
二年前、真剣な顔付きでそう告白してくれた尚のことが頭に浮かぶ。
尚との思い出が、全部が嘘だったと思ってる訳じゃない。でも、じゃあいつから? いつから私は尚にウザいと思われていた?
……だけど。私にも原因があるとは言え、こんな終わりはあんまりだ。
携帯を見ると、ソーシャル・ピクシーの公式ブログの【注目記事】というトピックスが目に入る。
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「はは……」
泣いているはずなのに、笑いが出てきた。
尚は覚えていたかな? 今日はいつもの十五日とは少し違ったってこと……。
今日は、私の誕生日だってこと。