神志名社長と同居生活はじめました
「な、何で? 私、何か嫌なことした?」

せめてフラれる理由が知りたいと、頑張って言葉を発し、そう伝える。


すると尚は、ハァと深い溜め息を吐いた後、面倒臭そうに口を開く。


「別に、嫌なことは何もされてないけどさ……。
雅って見た目地味じゃん? 涼音と比べたら、やっぱり涼音の方が可愛いなと思って」


芸能人と比べられたって……と悔しい気持ちになるも、自分が地味なのは分かり切っているから言い返すことは出来ない。


「それにお前って、ちゃんと自分の気持ち言わねえじゃん」

「え?」

「いつも俺の顔色伺って、嫌われないようにしてたよな? 気付いてたよ。
そういうの、彼氏としては重いっていうか、疲れる」

「……」

心に突き刺さる苦しい言葉だったけれど、この言葉も、否定は出来なかった。
確かに私は、尚にほとんど本音を言えていなかった。
そんな私に、尚はずっと気を遣っていたのかもしれない。


「それにひきかえ、涼音は感情がストレートだから一緒にいて気が楽でさ」

尚がそう言うと、間瀬さんが嬉しそうに「やだーっ、尚君ってば!」と声をあげる。

そして。


「ごめんねーっ、こんなことになっちゃって!」

と謝ってくるも、全く悪びれる様子はなく、楽しそうな笑顔を浮かべている。


彼女は、更に驚きの一言を繰り出す。


「ねえ、写真撮ってもいいですか?」

私にそう尋ねてくる彼女の右手には携帯が。カメラ部分を私に向けている状態だ。


「なっ、何? 私の写真⁉︎、」

「はい、そうでーす。私の彼氏の元カノさんでーす、ってブログに載せたいからでーす」

……そう言ってクスッと意地悪く笑った間瀬さんに、私自身は情けなく、恥ずかしく、そして悔しかったし怒りの感情を抱いた。


だけど……やっぱり何も言えなくて、自分の気持ちや意見なんて押し殺したまま、その場から逃げ出すように走り去った。
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