神志名社長と同居生活はじめました
……あ、駄目だ。また涙が出そうになってきて、私は慌てて手の甲で目元を拭った。

それでも涙は無情にも溢れてきて、遂に堪え切れなくなる。


「すっ、すみません! すぐに泣き止み……は無理かもしれませんが、今日ちゃんと泣いたら、明日はまたいつも通り仕事しますからっ……!」

「木月さん」

「だっ、大丈夫です! 社長に慰めていただくなんて恐れ多いです!」

「いや、慰めようとは思ってないけど」


……ん?

確かに、多忙を極めるはずの社長が、一社員の失恋なんかの為にわざわざ時間を割いて自宅まで来てくださるとは考えにくいけれども……。


「じゃあ、どうして……」


すると社長は、ふっと小さく、でも確かに微笑む。
ーーまた、笑った。
社長の笑顔はレアなはずなのに、ここ数日で二回も見てしまった。


……小さく微笑んだだけのはずなのに、とても綺麗なその表情。
思わず、ほんの少しだけ胸が高鳴ってしまったことは否定しない。



「木月さん」

「は、はい」




「俺と結婚しよう」





……はい⁉︎
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