神志名社長と同居生活はじめました
普段ほとんど飲まないくせに、家のすぐ近くのコンビニで缶ビールをたくさん買ってきて、社長にも付き合ってもらい、家で飲んで……


飲んで……



そのまま床で寝た、と思う。




「床で寝たら風邪をひくと思って、ちゃんと布団敷いて寝かせてあげたよ」


何故そんなにドヤ顔なのかとツッコみたくなるけれど、自分が寝落ちしてしまったことは確かなので

「ありがとうございます……」

と素直に返事する。



「……でも、気にせず帰ってくだされば良かったのでは……」

寝落ちしたのは確かに申し訳なかったけれど、社長がわざわざこの家に泊まらなくても済んだはずだ。まだそう遅い時間ではなかったから、社長ともあろうお方なら、お迎えに来てくれる人もいたはずだろうし。


すると社長は、いつもの無表情で、


「この家の鍵持ってる訳じゃないから」


と答える。



「え?」

「あの状態の君を、鍵の空いたこの家に放置するのは危険でしょ」

「あ……」


そっか……気を遣ってくれたんだ。そう思うと、それ以上怪訝な顔なんて出来ない。寧ろ感謝の念を抱く……いや、最大級の申し訳なさが込み上げる。相手が仲の良い友達ならまだしも、会社の社長だし!


……まあ、同じ布団で就寝した理由には、なっていない気もするけれど……迷惑を掛けたのは私なので、何も言えなくなった。



「ありがとうございます、社長。お忙しいところ、私のせいで申し訳ありません」

「忙しいのは別に平気。まあ、あいつは怒ってるかもしれないけど」

「あいつ?」

「こっちの話」

あいつとは誰だろうと気になったけれど、社長にあまりずけずけ質問するのも気が引けて、それ以上はそれについては聞かなかった。
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