神志名社長と同居生活はじめました
そう思うのに、

「だからさ、せっかくなんだしもっと仲良くなって、せめてステーキでもご馳走してもらえば?」

という松崎さんの面白半分な言葉につい、「え、ステーキ?」と反応してしまった。しかも少し笑顔で。
尚にフラれたのが原因で、ちょうどヤケ食いしたい気分だったのだ。ヤケ飲みなら昨日したけれど。


すると、ちょうどその時。


「ステーキ食べたいの? ご馳走しようか?」


背後から、聞き覚えのある声。
思わず勢いよく振り返ると同時に、肩が跳ね上がる。


「しゃ、社長!」

私の隣で、松崎さんも同じ様に驚いた顔をしているのが分かる。
まさかいきなり、噂の張本人がいきなり現れるなんて思っていなかった。

一方の神志名社長は涼しい笑みを浮かべながら、


「雅は肉が好き、って覚えておくよ」


そんなことを言い残し、ちょうどやって来たエレベーターに乗り込み、姿を消した。

松崎さんの前だと言うのにお構いなしで意味深な言い方をされた。松崎さんには先に事情を話しておいて良かったかもしれない……って、今はそれは置いておいてーー


「やだ、早速雅って名前で呼ばれてるの? 凄いじゃん!
……って、木月? どうした、ボーッとして?」


社長、いつから私達の近くにいて、どこから話を聞いてた? だって……


『もっと仲良くなってステーキでもご馳走してもらえば?』


そこ、聞かれてたかな? 聞かれてたよね?
なんか、そこだけ聞いたら、まるで私、ステーキの為に社長を利用しようとしている女みたいじゃないデスカ?
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