神志名社長と同居生活はじめました
「うん。俺が一人で行く訳ないでしょ」

「つ、つまり、デート、ですか……?」

「デートだよ。いつも雅が嫌がってしてくれないけど」

「い、嫌がってた訳ではないですが!」

「誰かに見られて噂になるのが困るって言っていたっけ?
悪いことしてる訳でもないし、俺は正直気にならないっていうか。
まあ、遊園地なら人が多すぎて、堂々としていれば誰にも気付かれないと思うけど」


そんなこと言われても、気付かれる可能性だって大いに有り得るし、噂になったらきっと社長の方が私以上に色々言われるよ?


そう、思うけれど……



「……行きたいです」


さっき社長に言った通り、デートが嫌な訳じゃない。
寧ろ、本当は私もそういう普通のデートがしたい。

恥ずかしさと照れ隠しでつい声が小さくなってしまったけれど、私の返答に、社長は珍しくにっこりと分かりやすく微笑んだ。

その表情に、私の胸が思わず締め付けられたことは、言うまでもない……。
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