毒は甘くて苦いだけ
「言い訳ばっかしないでよ!!見っともない!!」

将馬に向かってこころが叫んだ。大人しいこころの怒声に、将馬は固まる。

「その人はね、同じことを女の子になら誰にでも言うのよ。ここにいる子たちはみんな、彼に告白されて遊ばれて捨てられたの」

望美が静かに女の子に言う。女の子は傷ついた表情で将馬を見上げた。将馬の顔色はどんどん青ざめていくばかりだ。

そんな将馬に、女の子たちは一斉に罵声を浴びせる。もう誰が何を言っているのかわからないほど、一人一人の罵声は大きかった。

告白された女の子は、将馬に「最低!」と吐き捨てて足早に去って行った。それを見届けた真央たちは、「やったー!」「復讐成功だ〜!」と喜ぶ。

膝をついて呆然とする将馬に、こころは近づく。そして、言った。

「あなたにとっては遊びでも、私たちはみんなあなたのことを本気で愛してた。次にもし同じようなことをしたら、一生かけてあなたに復讐するから!」

校舎裏に将馬を残し、こころたちは歩き出す。もう振り返らない。傷は癒えなくても、ずっと縛り付けていた足枷は外れたのだから……。
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