Toxic(※閲覧注意)
……けれど、本当はわかっているのだ。

彼に奥さんがいる……その事実が、私の「どうしても」に火をつけた、それだけのこと。

すでにほぼ私の手中にあるはずのものが、他人のものだったのだ。

無性に腹が立った。

不倫は絶対にダメだ、従姉妹達の家庭のような悲劇を生むだけだ……そんな理性、簡単に吹き飛んでしまうくらいに。

私は「どうしても」彼が欲しかった。

そしてその欲求は、彼に家庭がある限り、きっと消えないものなのかもしれない。

結局土曜日の夜まで私の家にいた大和は、朝も昼も夜も私を抱いた。

飽きるくらいに「好き」とか「愛してる」とか囁き合った。

恋だの愛だの、恋愛ゲームばかりしてきた私にはよくわからない。

でも、大和を「どうしても」欲しいという気持ちに、「愛してる」以外の言葉が見つからない。

本気にさせてやる、と言った大和はまさか、彼に奥さんがいると知った私がこうなることを見越していたのだろうか。

もしそうだとしたら、柴宮大和という人間はとても恐ろしい男だ。

恐ろしくて、毒々しくて、とても魅力的だ。

やっぱり「どうしても」欲しい。

これが本気の愛だというなら、本当に滑稽だ。

だって私は、全部を壊してでも彼を手に入れたいと思うもの。

その強い欲求を、いつまで我慢できるかわからなくて、とても怖くて仕方ない。


彼に何度も何度もイカされて、ぐちゃぐちゃな思考の中で。

私はこの不倫を正当化する言い訳を、ぐるぐると考え続けていた。

これは仕方ない。

本当は壊したいのを我慢してるの。

だから許して?

……誰に対しての、言い訳だろう。

奥さん? いや、きっと自分にだ。

言い訳をしないとこの不倫を自分を許せない程度には、私は本当は、真面目で真っ直ぐな人間なのかもしれない。
< 105 / 123 >

この作品をシェア

pagetop