Toxic(※閲覧注意)
私は店を出て、トイレに移動した。

ついでにお手洗いを済ませようと思ったからだ。

早速円香にかけ直すと、ツーコールで繋がった。

『あ、響子?!』

円香はとても興奮した様子だった。

「うん。どうしたの?」

『あのね、今、見たのよ!』

「……見た? 何を?」

『片桐さんと、雰囲気がアンタそっくりな女! ついさっき、目の前を通ってった』

ああ、例の女か。

いろいろあって、すっかり忘れていた。

「てかどこにいるの? 円香」

『会社の前!』

「まじで? 私今、同窓会でブリリアントにいるんだけど」

『ええっ!! 私、気になってあとをつけたんだけど、その女ブリリアントに入ってったわよ! 片桐さんとは少し手前で別れてたけど』

「……うわあ…………」

なんて気持ち悪い話なんだろう。

元夫の今の女、しかも私に似ている女が、この同じホテルのどこかにいるのだ。

「……まあ、了解。とりあえず私、そろそろ戻んないと」

『ああ、そうね。同窓会だったわね、ごめんね』

それにしても、なんて気色悪い話だろう。

円香との通話を終え、すっかり尿意も引っ込んでしまった私は、手洗い場の鏡を見つめる。

私に、よく似た女?

似てるってなに? 元々? それとも……。


「相変わらず、鏡見るの大好きなのね」


不意に、そんな声がトイレに響いた。

驚いて振り向いた私の目の前に現れたのは。

「…………あ」

「そんなに自分の顔が好き? 」

全身に、鳥肌が立つのがわかった。

少し前の私と同じ髪型と似たような服装、そして、私と同じようなメイク。

気持ち悪いほど「私の真似」をした女が、私に笑みを向けた。

「久しぶり、響子ちゃん」
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