Toxic(※閲覧注意)
今日までの人生で、人に対して、これほどまでに激しい嫌悪感を抱いたことがあっただろうか。

「……」

吐き気がする。

「響子ちゃん、どうしたの? 黙っちゃって」

目の前の女の、真紅のルージュをわざと厚めに塗った唇の端が、くいっと気持ち悪く上がる。

「………………アンタ、だったの?……アヤ」

ようやく絞り出した声が震えたのは、得体の知れないものに対する恐怖だろうか。

私をコピーしたかのような外見。

けれど、その全く似合わないメイクから想像できる薄い素顔、そして「響子ちゃん」と呼ぶその声は、瀬戸綾子──コケシ女そのものだった。

どうしてコケシが、私の真似をしてる?

わからない、ただひたすら気持ち悪い。

「なに? 何のこと?」

「片桐と付き合ってる……私に似た女って」

「え、片桐くん? ……ああ、彼は、オトモダチ」

「片桐と、友達?」

……何だろう、この薄気味悪い違和感は。

気持ち悪い、気持ち悪い。

「ええ。そういえば 彼、響子ちゃんの元旦那さんだよね」

「……なんでアンタが知ってんのよ」

「言ったでしょ? 片桐くんはオトモダチだって。……昔からのね」


オトモダチなんて、嘘に決まっている。

昔から…… いつからの?

いつから、片桐と繋がってる?

いつから、私の外見の真似をしてる?

この女、一体いつから、私の近くにいた?!
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