Toxic(※閲覧注意)
「そうだ、響子ちゃん聞いて! うちね、この間、子供が生まれたの」

なんなのこいつは。

「2人目なんだけどね、女の子なの。上の子男の子なんだけどね、私、女の子欲しかったから嬉しくて」

知らないそんなの、気持ち悪い。

そもそもこいつ、こんなに饒舌に喋るっけ。

キャラまで、私の真似してるってこと?

なんで、こんなこと……。

「将来、響子ちゃんみたいに美人になってく」

「うるさい。アンタの子供の話なんてどうでもいい!」

「…………」

一瞬、その瞳に酷く怯えたような色が浮かんで、昔のアヤを垣間見た気がした。

しかしそれは、気のせいだったのかもしれない。

「……まあいいわ、それより」

アヤがずいっとこちらに顔を寄せた。

のっぺりとした彫りの浅い顔に、フェイスシャドウをたくさん塗りたくっている。

つけまつげをバザバサとつけ、カラコンまでして大きく見せている目。

太めのアイラインの跳ね上げ方は、私と全く同じだ。

そのケバい瞳が、にんまりと気持ち悪い弧を描く。

「ねえ、鏡を見てるみたいでしょ?」

「……」

なんなの、この出来の悪い偽物は。

全然似てない。

私はこんなに、醜くない。

鏡? こんな歪んだ鏡、割ってやりたい。

「私、すごく頑張ったの」

「…………なんで」

「……ほら昔、響子ちゃんのお気に入りの鏡、割っちゃったから」

「…………」

「だから、私が響子ちゃんの鏡になろうと思って」

……なにそれ。

「私、響子ちゃんが大好きなの」

なんなのこれ、気持ち悪過ぎる。

「……アヤ、アンタの目的はなに?」

「なんのこと?」

アヤは首を傾げると、

「ね、みんな待ってるから行こうか」

そう言って、ゾッとするような笑みを浮かべた。
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