Toxic(※閲覧注意)
同窓会と言えども、昔の思い出話なんて殆どしないものだ。

そんなことよりも、互いの近況が気になるらしい。

「へえ、智香の旦那さん、今単身赴任してんだ? どうなの? 実際」

「そっかー。悠子んち、上の子もう中学生か」

「弘美はいいよねー、旦那さん○○に勤めてるんだもんね。安泰じゃない? それに比べてうちは……」

みんなすっかり主婦だから、話題は家庭の話がメインだ。

それをぼんやりと聞きながら、私はコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ(平たく言うと牛カツ)にナイフを入れる。

やっとメインディッシュか。

とにかく、一刻も早く帰りたい……。

ため息をつきながらそれを口に運んだら、やはり味なんてよくわからなかった。

「ねえ、きょんきょんは?」

私の斜め前に座った美奈が尋ねてきた。

「確か、結婚したんだよね? 子供は?」

「ああ、実は私、離婚したん……」

思わず言い淀んだのは、アヤと目が合ったからだった。

片桐と繋がっているアヤ。

私の真似をするアヤが、私の元夫と繋がっている。

……それは、本当に、偶然?

「あー、そうなんだ……まあ人生いろいろじゃん? きょんきょん美人だし、またすぐいい人見つかるって」

私の様子を落ち込んでいると大いに勘違いした美奈が、私を元気付けるようにそう言うので、

「そうだよね、ありがと」

と笑顔を作って返した。

「うん……ああ、そうだ。そういえばアヤ」

なんとなく気まずくなったのか、美奈は私から顔を反らし、端にいるアヤに声をかけた。
< 119 / 123 >

この作品をシェア

pagetop