Toxic(※閲覧注意)
散々迷った挙げ句、今日は会社の裏の中華屋でランチをすることにした。

麻婆豆腐定食を注文してから、プライベートのケータイを取り出す。

すると、左上にメッセージ受信通知が。

もしかしたら柴宮かもしれない、「またあとで」なんて言っていたし。

そう思いながらタップしたが、男は男でも全く違う人物からだった。

『響子ちゃん、今日の夜、よかったら飲み行かない?』

この人は円香の旦那様のご友人、マサトくんだ。

4年前、円香の結婚式で私に一目惚れしたとかで、どうしてもとせがまれて連絡先を交換した。

彼と私、円香夫婦の4人で飲む機会は少なくないが、こうしてマサトくんから2人で飲みに誘われても、応じたことは数えるほどしかない。

そこそこ整った顔だし、私の2こ下だし、円香の旦那様の同僚なだけあってお金もあるし、性格もいい。

でも……。

条件だけで人を好きになれたら、どんなに楽だろう。

「ごめんなさい、今繁忙期で残業続きなの」

円香の旦那様繋がりだから無下にもできず、丁重にお断りのメッセージを返した。

私はハンターだから、追いかけて落とすのが好き。

追われるのは好きじゃない。

マサトくんが私を追って来なければ、もしかしたら、好きになっていたかもしれないのに。

……いや、そんなこともないか。

好きになれるなら、とっくに好きになっている。

要は、落とせる相手にホレるセンスと嗅覚が大切なのだ。

マサトくんには、狩りのセンスがない。
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