砂時計が止まる日


あれから僕と新垣の間の距離は確実に近くなった。



今まで踏み込まさせてもらえなかった、彼女の近くへと歩み寄れている。

それは僕が彼女の中の心の支えであった砂時計の持ち主だからか、僕に病気のことを打ち明けたからかはわからない。



僕は両方、なのではないかと思う。
きっと僕が砂時計の持ち主でなくても今まで以上は歩み寄れただろうし、病気のことを知らなくても歩み寄れただろうし...



今まで以上に近くで彼女を見守れる、それは僕にとってかなりの幸せだった。



ただ、僕らが近付けても、新垣がまたいつものように会長として校門をくぐることはなかった。



あの日から1週間。

もうカレンダーは最後の1枚となった。



新垣がいない学校に寂しさを抱きながら僕は新垣が働いているカフェに行った。



新垣の健康を祈りながらコーヒーを飲んでいると、机に置いてあるスマートフォンに電話の着信を知らせる画面がついた。



「白川君、ここでいいよ。
ゆーちゃんでしょう?」



マスターがカウンター越しにそう言った。



「すいません。」



僕はそう言って新垣からの電話に応えた。



「もしもし。」



《もしもし、白川君?新垣です。》

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