毎日、失恋。
要領の良い僕は学校では変わらず真面目に過ごしていたけれど、それ以外ではかなり乱れた生活を送っていた。

段々家にも帰らなくなったし。

モデルの仕事で知り合った先輩や友達の家を渡り歩いては夜の繁華街を当てもなくブラブラしたりもした。

女の子とも…まぁ、それなりに遊んだしね。

そんな事を続けていた時にあの出来事があったんだ。

警察に補導された時のこと。

父さんがほとんど仕事で家にいなくてもいつも明るく気丈にしている母さんが左右チグハグな靴を履いてポロポロと涙を零す姿を見た時、胸が苦しくなった。

久しぶりに見た母さんはひと回り小さくなった気がした。

違うか。

僕が大きくなったんだ。

いつの間にか母さんよりも体が大きくなってたんだな。

なのに…

心はガキ丸出しだったんだなって漸く気付けた。

ほんとバカだったよなぁ。

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