毎日、失恋。
よしっ、と小さく深呼吸すると僕は佐奈に告げた。

「佐奈が好きだ。僕の彼女になって。」

僕は言い終わると両手を広げる。

佐奈は戸惑いながらも一歩踏み出す、と同時に僕は佐奈を抱き寄せた。

佐奈の髪から香る甘い香りが僕の鼻を擽る。

「八神くん…ありがとう。私の事を見つけてくれて…ありがとう。」

「佐奈…」

「ん?」

僕の腕の中で小さな佐奈が顔を上げる。

「あー、もう。佐奈、そんな可愛いこと言ってるとここで押し倒すよ。」

「ひぇっ。」

「フッ、なにそれ。また変な声出してる。」

ああ、もう、可愛いな。押し倒すって冗談でいったつもりだけど冗談にならなくなるよ。

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