時空間への旅人
「まあそういうことです。私が選んだ人間に呪文を教えるのです。」
「どんな人間が選ばれの。なぜユリは選ばれたの。」
「それは、助けが必要な人間だからです。」
「ユリはお婆ちゃんが死んで悲しんだから選ばれたんだ。」
「そうとは限りません。」
「どういう意味…‥。」「理由は秘密です。あなたが知ることではありません。」
それでもカナはどうしても聞きたいことがありました。
「もう質問は終わりです。」
「これが最後の質問。お願いだから答えて。」
「じゃあ、最後の質問、答えるよ。」
コアはカナの必死な姿に考えを改めました。
「どうして私の心がわかるの。」
「それは、私が人の嘘だけがわかる生き物だからだ。嘘をついている人の心はわかるんだ。」
「じゃあ、本当のこと思っている人の心は読めないの。」
「そう言うことだね。私が選んだ人の心が読めないと、もうこの夢の世界は卒業だ。」
「私はどうなの。」
コアはしばらく黙っていました。カナの心の中を覗いていたのです。 コアはうなずいていました。
「もうカナの心は読めませんでした。」
コアは始めてカナの名前をいいました。
「なんだ私の名前最初から知っているのなら呼べばいいのに。」
カナはコアに文句をいいました。
「今呼んだでしょう。」「じゃあ私、コアに少しは認められたんだ。」 「別に認めたわけではありません。」
「またまた照れちゃって。あなたが正直じゃないんじゃないの。」
カナは笑いました。 コアは顔が真っ赤になっていました。
「やっぱりお前、嫌な奴。私が心を読めなくなったことでいい気になりやかって。」
「何よ。誉めてくれてもいいじゃないの。」
カナはコアをにらんでいました。
「ギンギンギンギン。」 コアは尻尾を激しくふりました。
「ちょっと、今日は何もしないと言ったじゃないの、この嘘つきタヌキ。」
カナは又、猛烈な臭いに顔を伏せました。
「この無礼者め。」
カナは夢から覚めました。
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