時空間への旅人
目を開けると心配そうに母親がカナを見ていました。
「カナ大丈夫。うなされていたから心配で。」
母親はカナを腕をつかんでいました。
カナは夢の一部始終を母親に話しました。
母親は泣きながらただうなづくだけでした。
カナはやっと母親のやさしさがわかりました。いつもうるさく感じられた母親が、今は大切な大切な母親に思えました。 カナはユリにも感謝しました。そして素直に今までの悪行を謝ろうと思いました。
次の朝、カナは急いで学校に行きました。ユリと早く話しをしたかったからです。
カナが教室に入ると、すでにユリは席に座っていました。
「おはよう~ユリ。」
「おはよう~カナ。」
ユリは笑顔であいさつしました。
カナはユリに夢の話しをしました。お父さんのことも話しました。ユリは驚きもせず、カナの話しを聞いていました。
ただいつもと雰囲気が違っていました。 笑顔がユリからなくなっていました。
「実は私、ユリに嘘ついたんだ。五円玉交換した時、ユリの夢を見ていないと言ったけど、本当は見たんだ。」
カナはユリが、なぜか始めて怖く見えた。ユリがまったく笑わなくなっていたから…‥。
「ユリがお婆ちゃんに泣きついている姿を夢で見たんだ、ごめんね。それから…‥。」
「それから、何…‥。」 ユリはカナをにらんでいました。
カナは今から本当のことを話すかと思うと、気が重くなってしまいました。
「私。ユリの…‥。」 「知っているよ。カナが私の靴隠したり、他の物も隠したりしていたことを…‥。」
カナは驚きました。ユリの顔を見ることができなくなりました。
「私も嘘ついたんだ。実は五円玉を交換した時、カナの夢を見たんだ。」「私の夢を…‥。」
「見たわ。カナが私の靴とかを隠す夢を。」
カナは体が震えていました。
「それからカナのお父さんが夢に出てきて私に謝っていたわ。カナの悪行を。」
「お父さんが…‥。」 「だから私、カナのこと許そうと思ったわ。」 やっとユリは微笑みました。

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