耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

「こんなものでお詫びになるとは思ってないので、またこの埋め合わせは別の日に。でも正直、ミネが怒ってなくてホッとしました。」

「怒ってなんてないっ!」

怜の言葉を慌てて否定する。
やっぱり朝の自分の態度は、彼の目に不機嫌に映ったのだ。

「朝は…態度が悪くてごめんなさい…でも怒ってたわけじゃないの…ただちょっとショックで……」

「ショック…そうですよね、水族館に行くのを楽しみにしていましたしね…」

「ううん、それもあるんだけど…それよりも、れいちゃんとのおでかけが初めてだったから楽しみにしてて……えっと、でも、お仕事なら仕方ないし、もう平気だから。」

そう言って無理に笑って見せる美寧の姿は、健気でとてもいじらしい。

「ミネ……」

整った眉を斜めに下げながら、怜は自分の腕をギュッと抱く。彼は自分の中に湧き上がる感情の正体に、この時既に気が付いていた。
ついこの前まで子どもだったと言っても良い、十も年下の彼女に対して、どうしようもなく抱いてしまう劣情を抑えようと、怜は必死になっていた。

「れいちゃんのオムライス、大好き。お出かけもいいけど、こうしてお家でれいちゃんの料理を食べるのが大好きだから、今とっても幸せ。だからもう気にしないで。ね?」

ふわふわの茶色い髪を揺らして小首を傾げる美寧は、まるで天使のように愛らしい。色白の小さな顔に、チークをのせたかのような紅色の頬。少しだけ上がり気味の大きな瞳は、好奇心旺盛の子猫を思わせる。

ここに来た当初、やせ細っていた彼女の体は怜の世話の甲斐あってか、少しだけ肉付きが良くなったように思える。それでもまだ同じ年頃の女性と比べて、小さく細い事には変わりないが。
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