耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「ミネっ」

怜の慌てた声が聞こえたが無視して飲み込むと、喉を熱い液体が流れていく。
本来なら香りや味を確かめながらゆっくりと飲むのが正しい作法なのだろうが、そんなこと知ったこっちゃない。

(私だって、これくらい飲めるんだもん)

グラスの中にワインはほんの少量しか残っていなかったのに、飲み下した瞬間からぼわっと体が熱くなっていく。
これで多少顔が赤くても、それはお酒のせいなのだ。

「ミネ…大丈夫ですか?」

「………」

『大丈夫』と返事をする代わりに小さく頷く。
ふわふわと思考がおぼろになって、怒りは収束気味だけれどなんとなくまだ口を開く気にはなれない。

さっきからずっとぷくっと膨らませたままの頬がそろそろ少し辛くなってきた頃、斜め前から低い声が耳に届いた。

「俺は何も見てない。だからそんなに気にしなくていい」

反射的に顔を上げると、真顔の相手と目が合った。

「悪いのはフジ(こいつ)だってことは分かっている」

一瞬美寧の隣に視線を移動させた高柳は、再び視線を戻した。

「ユズキが言っていたことは本当だったんだな。こんなフジは初めてだ」

高柳の顔は真顔のままだが、声の感じから彼がしみじみと驚いていることが伝わってくる。

「俺が知っているフジは、こんなふうに誰かに執着するような奴じゃなかった。ユズキが言っていた『フジが拾った子を溺愛している』と言うのは、猫相手でも誇張が過ぎると思っていたんだが――」

高柳は一旦言葉を切った後、美寧の顔をじっと見てから

「冗談ではなかったようだ」


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