耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
程よい弾力がスプーンから手に伝わってくる。スプーンを掬い上げると、琥珀色の固まりがふるふるとスプーンの上で揺れている。
美寧はそれをこぼさないようにそっと口に入れた。
しゅわっ。つるん。
口の中で炭酸が弾けて、梅の芳醇な香りが鼻に抜ける。そしてゼリーはそのままつるりと喉をすべり落ちる。
初めてのその触感に、美寧は感動した。
「んん~っ、おいしい~~~っ」
なんのてらいもなく純粋に歓声を上げる美寧に、怜は綺麗に微笑んだ。
美寧は脇目も振らずにゼリーを次々に口に入れる。ついさっき夕飯を食べ終わったと思えないほどの勢いだ。
冷たくて喉越しの良いゼリーは、つるつると滑るように入っていき、あっという間に美寧のお腹の中に収まってしまった。
「ごちそうさま。とっても美味しかったぁ。」
空になったカクテルグラスとスプーンをローテーブルに置いた美寧は、心の底からの笑顔を浮かべる。
今朝からずっとしていた、物陰からこちらをちらちらと伺う警戒心丸出しの子猫のような仕草も、それはそれで可愛らしかったが、やっぱりこんなふうに屈託なく笑う彼女の方がいいと、怜は思う。
丸一日ぶりに美寧の笑顔を見て、自然と表情が柔らかくなっていた怜に、突然美寧は向き直った。
「れいちゃん。」
「はい。」
座ったまま上半身を捻りソファーの端から身を乗り出すようにして、反対側に座っている怜に詰め寄った美寧。
その表情は真剣そのものだ。ほんの少しだけ目尻の上がった黒目がちな丸い目を、更に大きくして怜をじぃっと見詰める。
怒っているふうではないが、戦いを挑むような真剣かつひっ迫した雰囲気だ。